未来なんて気にするな。感情が老化している大人が想像する未来なんてつまらないだけだ

子供の頃のように、
『純粋に楽しい』と感じることは
1日に何回あるでしょうか?

「楽しいことなんてない」

と思われる方でも、
1日に平均400回は笑う
というほど、
感情が豊かだった子供時代があって、
その頃は毎日が刺激的で
潤いがあったのではないでしょうか。
しかし、そんな子供時代を過ぎ、
就職して大人になると
1日に平均17.5回しか笑わないそうです

このような”感情の老化” は、
全て自分が想像できる範疇で
安心して生活したい
と言う思いが原因で引き起こされています。

当然、想像の範疇で生活しているので、
想像を超えるような感動に
出会うこともありません。

↑笑わない大人も子供の頃は、1日に平均400回は笑うほど、感情が豊かだった

年齢を重ねれば重ねるほど
感動下手になるのとは対照的に
不安センサーは敏感になるようです。

イギリスのメディアによると
1日に平均1時間50分以上
お金や生活、将来のキャリアと言った
『漠然とした不安』
を感じる時間に使っています

「明日、仕事をクビになってしまったらどうしよう」

と言った、
社会的責任のある大人にとって、
未来に対しての漠然とした不安は
仕方がないことで、
その不安を紛らわすために、
夜の晩酌をしたりして、
現実社会とのバランスを保っています。

よく聞く「酒がないとやってられない。」
というのは、
「酒がないとストレスと不安に押し潰されて、
精神が保ってられない」と言い換えることができ、
これは極端な話ではありません。

アルコールとストレス解消の
関係性の研究によると、
アルコールは
心を穏やかに維持する役割を持つ脳内物質
であるGABA(ギャバ)に働きかけるため、
飲んだ人をリラックスさせる効果
を発揮するそうです。

お酒でリラックスするという文化は、
5,000年以上前から存在していて、
例えば、エジプト文明では、
賃金としてビールを渡していた
という歴史があり、
吐くまでお酒を飲んだ人の様子や
壁画が遺跡として残っています

当時は、王様と労働者という関係が
すでに出来上がっていたので、
『それなりに不安やストレスを感じていたのでは?』
と推測すると、現代人がお酒が飲むのは、
大昔から受け継がれてきた
対処方法の1つかもしれません。

↑「お酒を飲まないとやってられない」は、昔も今も受け継がれる対処方法

ストレス社会への対処方法として注目され、
Googleが取り入れたことで話題になったのが、
古くからインドの瞑想や
日本仏教の座禅として伝わる
マインドフルネスです。

マインドフルネスの効果は
科学的に注目されていて、
『デフォルトモードネットワーク』
という自分の意思とは関係なく、
日常の心配や不安を考えてしまう
アイドリング状態を
しずめる効果
があります

その結果、
過去の出来事や将来への
不安に振り回されず、
今に集中できると言う効果が出るため、
一瞬の動きが勝敗を決めるスポーツや
スピーディな決断が求められるビジネスマンには
積極的に取り入れているそうです。

スポーツの世界で言うと、
プレッシャーに負けない
メンタルトレーニングとして使われたり、
選手のメンタル面をケアする目的
でも使われています

それ以上に、
マインドフルネスの
大きな効果として現れるのが
幸福感です。

『瞑想の達人が瞑想するとき、
どのように脳が変化するのか?』
について調査した研究によると、
瞑想によって幸福感を感じる脳の活動が
通常時の700〜800%に増え

達人ほどではないにせよ、
瞑想の初心者でも
同じ効果が見られました。(1)

↑瞑想は人間の幸福感を700〜800%増大させる効果をもつ

リラックスをして、
今に集中していると言う状態は、
不安への対処方法として
だけにはとどまらず、
今に集中をすると言う行為が、
結果的に未来の自分への
貯金となりえます。

分子生物学者の村上和雄教授は
自分の研究人生を振り返って
「一生懸命やれば、
天が悪いようにはしないだろう」
と今に集中することの大切さ
について次のように
述べています。(2)

「いまの自分は、
自分以上のものでもなければ、
自分以下のものでもない。
その『たったこれだけの自分』として、
できることを精いっぱいやる。

「いいプロセスさえ経れば、
おのずと結果はついてくる。
だから、うまくいくだろうか、
この先どうなるのだろうと
不安やマイナス思考に
とらわれるヒマがあったら、
いいプロセスを積み上げていくことに
力を注ぐべきだ。

↑「マイナス思考にとらわれるヒマがあったら、いいプロセスを積み上げていくことに力を注ぐべきだ。」

多摩美術大学教授でもあり、
僧侶の枡野俊明氏は、
禅の教えである「一息に生きる」
という言葉について、
「文字どおり、
ひと呼吸するその瞬間、
瞬間を一生懸命に、丁寧に生きなさい」
と解説するように、テクノロジーが進化し、
AIによってどんな未来が予測されようとも、
人間が豊かに生きるため、
大切にすべきは『今である』ことは
変わりません。(3)

今置かれている状況は
過去の積み重ねによるもので、
来るべき将来も同じように
今の積み重ねによるものです。

想像の範囲におさまらない恐怖や
将来への不安を感じても、
時間の流れは止めることはできず、
バランスをとって
生活していく他ありません。

ただ1つ言えるのは、
未来でも現在のように
笑っているためには、
予測できない未来を案じるより
確実なことがあります。

それは、今に集中して
1つずつ積み重ねること
です。

そしてそれが、
現在の自分から未来の自分への
最高のプレゼント

なるのではないでしょうか。

  1. ヨンゲイ・ミンゲール・リンポチェ 今、ここを生きる ──新世代のチベット僧が説くマインドフルネスへの道(2016年、パンローリング株式会社) Kindle 40
  2. 村上 和雄 アホは神の望み (2008年、サンマーク出版) Kindle 761
  3. 枡野 俊明 心配事の9割は起こらない―――減らす、手放す、忘れる「禅の教え」 (2013年、三笠書房) Kindle 148